テーマ 79 管理職者としてのPDCAのDOが強いチームをつくる
■管理職者としての日々のDOを実践する
部下の方に仕事を与え「PLAN」、
部下の方が与えた仕事を終了した段階で、
その仕事の内容をチェック「CHECK」し、
やり直しの指示を出すだけで、
管理職者としてのPDCAを行っていると
思っている管理者の方が多くいらっしゃいます。
DO(実施)は、部下が行うものと誤解しております。
管理職者の方が行う「DO」とは、
「PLAN」と「CHECK」の間で、
部下の方の仕事の進捗状況の把握や
部下の方のモチベーションの維持・向上のための声掛け、
部下の方の職務能力向上のための指導など、
部署全体の仕事のコントロールなど、
いわゆる部署全体、部下の方、一人ひとりの
仕事の進捗管理ということになります。
管理職者として、本来、行うべき、
進捗管理「DO」の業務を全く行っていない、
行わなければならないこととして、
気づいていない管理職の方を数多く見受けます。
現実的には、部下を放置している状況ともいえます。
月、週、日、半日、1時間などのそれぞれの単位の中で、
管理職者として部の方に、どのタイミングで、
何を話すべきなのかを考え、実践することが必要です。
「PLAN」 考えて、考えて、考え抜いて、自ら目標を設定する。
「DO」 部下の仕事の進捗状況の把握、部下のモチベーションの維持・向上、
部下の職務能力向上のための指導、部署内の仕事のコントロール。
「CHECK」 部下の行った仕事のチェック、獲得すべき仕事の成果の獲得。
「ACTION」 仕事の改善の実施。
■日々の言動が強いチームをつくる
ナポレオンは部下の人に、「自分は大切にされている」
と思わせるのがうまかったといいます。
野営地を歩き回っては、士官を名前で呼び、
親しく話をしながら、故郷のことや、
家族について尋ねたり、その士官が参加していた
戦いについて論じたりしたとのことです。
ナポレオンが部下たちに関心をよせ、
共に過ごす時間に比例して、
部下たちの軍隊に対する帰属意識が高まり、
強い軍隊ができたとのことです。
人の思いというのは、理屈だけではなかなか伝わりません。
直接触れてみて、自分の言葉で話し、
心で感じてもらう部分が重要です。
迎合するようなコミュニケーションによって
形成された単なる「仲良し」の関係は、
困難な局面に直面すると、厳しい言葉や
ちょっとした否定の一言で簡単に壊れてしまいます。
あの上司の言葉、行動は筋が通っている。
ついていく価値がある。
と部下に信頼されるような、
日常の行動、言葉が、強いチームをつくるためには重要です。
■部下の方一人ひとりに対するDOが重要
アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグ氏が
提唱しました理論に動機付け・衛生理論というものがあります。
人間の仕事における満足度は、
ある特定の要因が満たされると満足度が上がり、
不足すると満足度が下がるということではなくて、
「満足」に関わる要因(動機付け要因)と
「不満足」に関わる要因(衛生要因)は
別のものであるとする考え方です。
満足(動機付け要因)に関わる要因としては、
「仕事の達成」、「仕事の責任範囲の拡大」、
「自己の成長」、「仕事へのチャレンジ」
などが上げられます。
「不満足」(衛生要因)に関わる要因としては、
「会社の方針」、「管理方法」、「給与」、
「対人関係」、「作業条件」
などが上げられます。
「不満足要因(衛生要因)」は、いくら改善しても、
社員の不満や生産性の低下を防止することはできても、
社員の生産性向上を増大させることは
できないとされております。
「満足要因(動機付け要因)」が、
社員の仕事に対する満足、社員の生産性向上
に寄与する要因となるとのことです。
この理論をみても、部下の方を育成するためには、
「目標を設定し責任ある仕事を与え、達成してもらう」
ということが重要なことが分かります。
このためには、実務的には、一人ひとりの部下の方に対し、
部下の方の仕事の遂行能力や長所、課題点、希望、不安に
思っていることなど部下の方の現状をよく把握したうえで、
期待していることを伝える、
目標を設定し責任ある仕事を与える、
仕事を達成したら承認し、ほめる、称賛する。
このようなことを意識的、計画的に継続的に行うことが、
部下の方の意欲、やる気を育て、大きな成長へ導きます。
部下の方の育成には、「目標を与え、達成させればよい」
といった機械的なものではなく、
部下の方が目標を達成するために、
日ごろの上司である管理職者の方の
愛情のこもった、強い指導が重要となります。
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